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2007年5月

ヒロシマ3戦目

…といっても、もちろん野球の話ではありません。
先日の日曜日、3回目の公演があったのです。
「3回目だから楽勝楽勝!」と思っていると大間違い!今回は演技以前のところに問題がありました。

今回の会場はミュンスターではなく、Luedinghausenという町。…て、どこ?と思って調べると、ミュンスターから南西に24kmのところにある小さな町でした。

私の家からは直線距離だと45kmくらい。でもここは田舎。電車は直線には走ってくれません。
ホストマザーのイルカが調べてくれたルートでは、一度ドルトムントまで南下してから北上することになり、片道15ユーロで2時間半…。
いやだー。と思い、他のルートを必死で調べました。するとラッキーなことに、会場となるレストラン「Ricordo」の真ん前にバス停があって(なんとバス停の名前が「Weinhaus Ricordo」でした。有名店?)、バスを乗り継いで行くと、もっと安く行けることがわかりました。

それでも2時間弱。いやーサバイバルでしたね。着物やら大荷物をもって、雨の中、田舎道のバス停に降り立ったとき、本気で車の免許をとろうと思いました。(でもすぐにユーロ高なのでやめようと思い直しました)

そして芝居が終わる頃には当然バスも電車もないので、近くのホテルに泊まりました。女優業は大変です。

そんなこんなでたどり着いた会場は、おしゃれなイタリアンレストランの中にあるステージ。普段は芝居だけでなく、コンサートや演芸的なこともやっている「ディナーしながらなんか見ようぜ」的なところです。
舞台裏にはイノシシの頭とか、2メートルくらいある巨大なサボテンとか、何に使うかわからない物がいっぱいありました。

基本はレストランなので、舞台の真ん中にドーンと柱があったり、明らかに舞台が見えない所にテーブルがあったり…。
演技しててもどのお客さんに見えているか分からない…スリル満点!
 本番中に数々の死角をかいくぐりながら立ち位置を模索します。

舞台の作りが前回と全く違うのに、ゲネプロもリハーサルもなく本番でした。んー、タフです、ドイツの劇団。

さて本番、やっぱり場所が変わるとお客さんの雰囲気も違いますね。前回よりくだけた感じで、よく笑ってくれます。

ヒロシマも調子に乗って、ドラを鳴らす前にガリレイの朝ご飯をつまみ食いしてみたり、折り紙のネタをカエルから「はばたくツル」に変えてみたり、また勝手に新しいネタを増やしました。(演出が怒らないのが不思議です)
でも、長旅の疲れと油断とでいくつかミスもしてしまいました…反省。

実は今回、旅行先で知り合った日本人の方が、このブログを見てデュッセルドルフからはるばる見に来てくださったのです。
初めての日本のお客様。前日にストーリーの要約をメールで送ったのですが、楽しんでもらえるかどうか、ドキドキでした。
本番が終わってからお話すると楽しんでもらえたようでひと安心。
しかも広島出身の方だったので、演出のラインハルトも「どう感じましたか?」と興味津々でした。

そんなこんなで3回終わりましたが、次回はけっこう先で8月11日。でもその頃私は日本から来る友達と旅行に行ってるので、お休みしなければなりません。

まあ、ヒロシマなしでも話は成り立つし大丈夫だろうと思っていると、他のメンバーから「え?なんでなんで?来てよ、お願い!」と泣きつかれてしまいました。
「友達も連れて来ればいいじゃないか」「ヒロシマがいないと芝居ができないよ!」とまで言われ、断るのが苦手な私、けっこうグラグラきてしまってます。

だけど、その日はライン川沿いの古城ホテルに泊まるんだーい。女優はつらい…。

P1060229 今回の会場、レストラン「Ricordo」







P1060230 ワイン屋さんでもあります。







P1060234 舞台です。ヒロシマは柱のこっち側に立つべきか向こう側に立つべきか…。






P1060235 客席にもこんなに柱!







P1060232 客席。奥のお客さんは絶対舞台見えないと思うのだけど…。






P1060231 今回の折り紙机。日本からもってきたぴょんぴょんガエルのおもちゃも、
かなりドイツ人にウケてます。





P1060236 店の裏には、はす池が。本物のカエルさんが住んでそう。






P1060237舞台裏。







P1060239 前回書き忘れましたが、休憩中には哲学者役ノルベルトが会場の外で得意技を披露します。お客さんの「フィ・ロ・ゾ・フィー!(哲学)」というかけ声に合わせて…。



P1060228 ファイアーーー!! すごすぎる…。

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舞台に立つ!

幕前の音楽が流れ、舞台上をアンドレア少年が自転車でぐるぐる回り始めると、いよいよ開演です。
私は客席の片隅で観客のような顔をして、出番を待ちます。

よく「お客さんが入ると芝居が変わる」といいますが、まさにその通り。
化けましたねー。
ひとつひとつのお客さんの反応を感じながら、役者さんたちは1年間積み上げてきた物を舞台上で再構築しているようでした。

そんなふうに客として楽しめたのも束の間、いよいよヒロシマの出番です。
「紹介しましょう、日本からやってきたボンバスティックな私のアシスタント、ヒロシマ!」
ガリレイに紹介され、ヒロシマ登場!

あとはもう、無我夢中です。私の中のヒロシマのテーマは
「美しく、おかしく」。
しとやかな動きを心がけながら、暇にまかせていっぱい細かいネタを繰り広げました。もともと期待されていないので、お客さんがちょっとでも見てくれれば儲けもの、くらいの気持ちです。

何がドイツ人のツボにはまるか分からないので、思いつく限りの日本ぽいことを全部やってみました。床を雑巾がけスタイルで拭いたり(わりとウケました)、ワインボトルを茶道のお茶碗のように手のひらの上で回したり(これは不発)、大事な手紙で勝手に折り紙を折ったり…。

あとはリアクション命ですね。
ガリレイが変な事をするたびに顔をしかめてみたり、びっくりしたり、焦ったり、にやけてみたり。台詞の意味が分かる所ではできるかぎり表情をころころ変えて、細かい演技をし続けました。
舞台上に動きがない時を見はからっておもしろい表情をするなど、少々セコい手も使いつつ、地味に自己アピールをし続けていると…ん?なんだか手応えが…。見られてる感覚が…。

そして後半、見せ場がやってきます。フォルカー扮するクールな歌手が「ガリガリ、レイレイー!」とラップでガリレイを讃え、観客をあおりまくるライブシーンがあるのですが、そこでヒロシマは、舞うのです。
(もともと舞う予定ではなかったのですが、このシーンでヒロシマはどう振る舞うべきか分からなかったので、演出に「私も踊ったほうがいいんですか?」と聞いたら「どんな踊りだ?やってみろ!」と言われ、適当に盆踊りのような日本舞踊のような踊りを踊ってみたところ、えらくお気に召し、採用になったのでした)

最初はガリレイと一緒に戸惑っているヒロシマですが、そのうちに楽しくなってきて思わず踊りだしてしまう、という流れです。夢中で踊りきった瞬間、ピュー!と口笛が鳴り「ブラボー!」と拍手喝采!ああ、ドイツ人に一番ウケたのはやはり「舞い」でした。

ちなみにドイツのお芝居では、暗転のたびに拍手するという習慣があります。なんか流れが断ち切られるようで、観客としてはあまり好きではなかったのですが、役者の立場になってみると、「よかったよ!次のシーンも頑張れ!」と言ってもらっているようで、とてもありがたかったです。

心配だった舞台転換も、ワインボトルがカンカン鳴ったり幕が重なっていてはけ口が見つからなくてうろうろしたり、という小さなトラブルはあったものの、なんとか乗り切り、最後のシーンまでたどり着きました。

「私は自分の職業を裏切った…」と語るガリレイの独白でこの物語は終わります。アルミンの素晴らしい語りに袖で感動し、(客席で見れないのが残念…)、さあ、カーテンコールです。一人一人舞台に登場すると、なんと、ヒロシマにものすごい拍手が!やっぱりみんな、見てくれてたんだ!ほんとにほんとに嬉しくて、最大限深々とお辞儀するヒロシマでした。

演出も舞台に上がり、みんなでご挨拶。初日って特別なんですね。演出から役者に、バラの花のプレゼントがあったのが素敵でした。

芝居が終わった後も、お客さんはなかなか帰りません。特に初日は知り合いや関係者がたくさん来ているらしく、役者も含めてみんなで芝居について語り合っています。
真っ先にイルカの所に行くと、開口一番「おめでとう!」(ドイツではこういう時「おめでとう」っていうんですね。他の人にも言われました。初日おめでとうということなのかな?)
「すごいじゃない。こんなに出来るとは思わなかった。」「特に踊りがよかったよ!(笑)」とイルカもお姉さんもべた褒めしてくれました。

他の人からも、「ずっとあなたの表情を見てたよ」「ガリレイとのコンビネーションが素晴らしかった」「いい女優だね!」と、予想以上のお褒めの言葉!(ただ、いろんな人が話しかけてくれたのに、ドイツ語力がなくて会話が続かないのがとても残念でした…)

倒れそうなくらい不安を抱えて出発した朝から一転、ものすごく晴れやかな気持ちで帰宅しました。

2日目も、小さなハプニングはあったものの、無事終了。初日に比べて知り合いは少なかったのですが、おかげさまでヒロシマはお客さんに愛していただけました。
一生懸命セリフをしゃべっている他の役者さんに申し訳ないくらいです。もしかしたらいままで演じた中で一番「おいしい」役かもしれません。
演出も、「すばらしい!能の世界だ!」とわけのわからないコメントで褒めてくれました。

ライトを浴びて舞台に立てる喜びを、異国の地であらためて感じているちえぞうです。ああ、楽しい…。こんどの日曜も本番です!

P1060126 舞台袖。んー、ワクワクします。







P1060121 音楽担当トーマスも、本番ではこんな格好。






P1060120 アンドレア少年が自転車で舞台上をぐるぐる回り始めると、いよいよ開演です。






P1060123 ガリレイ登場。まずはお客さんにごあいさつ。






P1060124 お客をいじるガリレイ。







P1050977 ライブシーン!始めはしぶしぶ拍手するヒロシマですが…、






P1050976 最後にはこうなります。舞いきった瞬間!






P1060105 カーテンコールでもアンコールのもうひと舞い。






P1050981 ありがとうございました!







P1060125 おまけ。休憩中、袖から客席をのぞく兄弟。

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本番当日

ぼろぼろのゲネプロから一夜明けた5月18日、とうとう本番当日が来てしまいました。「絶対ミスするよおー。やばいよおー。」と正直かなり胃が痛い。
しかも今日はホストマザーのイルカとそのお姉さんが見に来るというではないですか。ひえー、もうちょっと後に来てくれればいいのにー。

開演は夜7時。日本では朝から集合してぎりぎりまできっかけを確認したりするものですが、わが劇団では「6時くらいには来といてねー」とかなりアバウトなのでした。
でも私は着物を着なければならないし、かなり不安なので3時くらいには会場入りする事にしました。お家で髪の毛だけセットして、いざ出発。

四苦八苦して着付けをし、舞台裏へ行くと、ガリレイ役のアルミンが素晴らしい舞台転換表を作ってくれていました。あんた主役なのに…えらい、えらすぎるよ!
これで安心!と思って目を通したものの…読めない…(泣)
言葉の壁…。自分でがんばるしかありません。

午後6時。お客さんが入ってきました。書き忘れていましたが、このお芝居、客席でイタリア料理やワインを楽しみながら見れるのです。会場に来たお客さんは、まず料理を注文して、開演を待ちます。(ちなみに前回は「トゥーランドット」だったので中華料理だったそうです)お料理を担当するのはノルベルトの奥さんとそのお友達。皆さん朝早くから来て準備してくれてました。

客席サービスはそれだけではありません。フォルカー扮するイタリア人ウェイターが「ターノシンデマスカー!」とやかましくテーブルを回り、プロのクラウン(ピエロ)もやってきて面白おかしくパフォーマンス。「せっかく来たのだから、いろいろ楽しんでもらいましょう!」という感じです。

そんな会場の一角で、私はお客さん相手にプチおりがみ教室を開け言われ、最初は全く意味が分からなかったのですが、周りの様子を見ていて「なるほど、遊園地のマスコットみたいなものね!」と合点がいき、なんだかふっきれて楽しくなってきました。私なりにカタコトのドイツ語でがんばってみました。

まず会場に入って来た4人のお客さんを「いらっしゃいませ。私は日本から来ました。どうぞお座りください」とテーブルに案内し、座ったとたん「ここへ座ったからには折り紙を学ばなければなりません!」と宣言。
「カエルはこの芝居の重要なテーマです!」と適当な事を言いながら、むりやり折り紙の「ぴょんぴょんガエル」を折らせます。(ちなみにカエルは演出の指定。)

「間違い!」「うまい!」「へたくそ!」とか叫びながら、完成させたあと「ほらぴょんぴょん跳ぶでしょ?」と見せ、最後に「芝居がつまらなかったらそれで遊んでください」と一言添えて解放。けっこうウケましたねー。

だんだん自信が出て来て、人が集まらない時に自分から「日本のオリガミ知ってますかー?」とテーブルを回ると、チップをくれようとするおじさんもいました。

ぴょんぴょんガエルの折り方は、日本から持って来た本を参考にしたのですが、なんとお客さんの中に「私はもっといいカエルが折れる」という人がいて、逆にその場で教えてもらうことに!悔しいけれど、たしかにそっちの方が良かった。ドイツ人の中にも折り紙マスターがいました。

そうこうしていると、6時40分ごろ演出ラインハルトが大慌てでやってきて、「チエ、ウォーミングアップするよ!」と楽屋へ連れて行かれました。みんなで体をほぐしたり、呼吸を整えたり、肩を組んで輪になって歌いながらぴょんぴょん跳ねてテンションを上げたり、練習では全くしなかった芝居の稽古っぽいことをここになって体験。「着物が着くずれるー」と焦りましたが、ヨーロッパの演劇ワークショップを初体験したような感じで、かなり楽しかったです。
なぜか音楽担当のトーマスも参加してました(笑)

「よし、がんばろう!」と握手を交わし、私とフォルカーは再び何事もなかったかのように客席へ。
いよいよ始まります!

P1060127今日の演目。







P1060107 いろいろ準備中の開場前。







P1060099 これが私のおりがみコーナー。箸は一度も使いませんでした(笑)






P1060101 イタリア料理!ビュッフェ形式です。







P1060103 うまそー。







P1060117 料理を取りにくるお客さんたち。







P1060113 お台所で一枚。お料理担当の素敵なお二人。






P1060119 プロのクラウン、ダニエロ。前回の芝居では主役を演じたそうです。今回は不参加ですが、客席をあっためるお手伝いとして来てくれてます。




P1060118 開演前、イタリア人ウェイターとクラウンはけんかばかり!かなりやかましいです。





P1060112 受付です。







P1060108 ロビーには過去の公演の写真や新聞の批評記事が掲示してあります。






P1060110 前回のお芝居「トゥーランドット」のコーナー。






P1060111 10周年おめでとう!







P1060115 物販コーナーもあります。演出ラインハルトの書いた本や、音楽担当トーマスのCDが売ってます。

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箱入り&ゲネ

ヒロシマはガリレイの助手なので、ガリレイの出番がある時はほとんどいつも舞台に立っていなければなりません。なんと途中休憩が入るまでは出ずっぱりです。でも、やることといえばお辞儀と、たまにワインや洗面器を運んだりするだけ。「こりゃ、着物でも着ないともたないなー」と思っていると、2回目の通し稽古の前日、日本から着物が届きました。

実はドイツ行きが決まってから、半年ちょっとの間、着付けを習っておりまして、パーティーに呼ばれた時にでも着ようと思って日本から船便で送っていたのです。それがまさか舞台衣装になるとは…。

着物は案のじょう演出のお気に召し、「よしいいぞ、それだっ! ついでになんか日本の布を持っていないか!」と言われ、「着物を包んでいた風呂敷なら…」と見せると、「よし、それだっ!」ガリレイの隣でヒロシマが望遠鏡を捧げ持つシーンがあるのですが、その望遠鏡の下敷きとして我が家の紫の風呂敷がいきなり採用されました。

何度か稽古に通ううちに役者さんたちとも打ち解けてきました。
ガリレイ役のArmin(アルミン)は、前回書いたように役者魂の公務員。彼の演じるガリレイは研究のしすぎでかなりイカれております。客の一人に「博士!」と呼びかけたり、いきなりカエルのものまねをしたり(ガリレイはカエルが好きだったそうです。ほんまかいな)自転車を乗り降りするだけなのに「んー、難しい。危険だ…」と悩んだりします。そんな人の世話をしなければならないので、ヒロシマは大変です。

バイエルンな事務局長、教皇、哲学者役のNorbert(ノルベルト)は、整体師をしています。とても親切なおじさん。でも演技はかなり濃いです。

「マンマミーア!」なイタリア人役のVolker(フォルカー)はジャーナリストをしています。この人の演技が、もう、めちゃめちゃ濃い!ちょっとオゲレツの域に達しております…。幕間のナレーションもフォルカー担当。これも超イタリアーン。

校長の12才の長男Felix(フェリックス)はガリレイに天文学を教わるアンドレア少年役。新演出で、長髪にキャップ、自転車を乗り回す現代っ子になっています。この役はかなり重要で、本来子役がやる役ではないと思うのですが、彼は見事に演じています。

9才の次男Frederik(フレデリック)は、我が小学校の現役児童。フィレンツェ大公の役です。台本の設定も9才。お見事な配役!舞台に出るととたんに表情が変わります。もう立派な役者です。

そんな男臭い稽古場。みんな平気でパンツ一丁で着替えたりします。やーん、ちょっとは気を使ってよー。

みんなとの会話の中で「芝居はどれくらいやってたの?」と聞かれて、実は私は中学校から大学まで演劇部歴だけは長いので「10年くらいかな」と答えると、「おおー、ベテランだ!」と言われてしまいました。「日本ではどんな芝居をしてたの?」と聞かれるのですが、日本の小劇場ってなかなか説明しづらいですね。困ったあげくに「古典ではなくて、お笑いが満載で、ちょっとテーマ性があります」とへなちょこな説明をしてしまいました。

さて、講堂での稽古も終わり(と言っても3回だけでしたが)、5月16日、いよいよ本番で使う劇場に入りました。ミュンスターの北端にあるKinderhausという劇場です。

みんなもこの劇場を使うのが初めてらしく「なんだ、舞台が狭いぞ。広げろー」「椅子はどこだー」「楽屋はどこだー」という感じで戸惑いながら仕込みが始まりました。といってもほとんど素舞台なので、トンカン何かを作ったりはしない簡単なものです。でも私はドイツ語力がないので、指示をよく理解できなくて大変。「みんななんか慌ててるぞ、なんだろう?」というように、勘だけを頼りに動き回る私でした。

そして「場当たり」開始。気になる照明さんは演出自身でした(笑)
場当たりをして分かったこと…小道具の出し入れがもう大変!!
素舞台なので、場面転換のたびに小道具を配置しなければならないのですが、稽古の時はみんないらない物をそこらへんにぽいっと置いたりして適当にやってたので、今になって大混乱。おいおいっ、あたしゃずっと気になってたのだよ。

しかもここへ来てヒロシマがにわかに忙しくなってきました。場面転換のたびに大量のワインボトル(中身入り)を出し入れしなければならず、さらに幕間のイタリアーンなナレーションの始まりと終わりにでっかいドラを叩くことになりました。また演出が突然思いついたようです。「ドラは日本の楽器ではありません」と主張してみたのですが、「別にいいんだ」と一蹴されました(泣)。

出ずっぱりな上に暗転中にワイン、そしてドラ…。新たな段取りに頭がぐるぐるなりながら、5月17日、ゲネプロ(本番さながらの通し稽古)の日を迎えました。ちなみにゲネプロはドイツ語の「Generalprobe(ゲネラルプローベ)」の略。演出に「日本ではゲネプロって言うんだよ」と言うとかなりウケてました。

さてゲネプロの出来はというと…、
ボロボロでした。まったくもって。ワインは重いし望遠鏡はなくなるし、ドラは叩き忘れるし、初めて本物を使う小道具も多かったのでもたもたするし(通しの時から本物使ってちょうだいよ!)、もう最初から最後までヒヤヒヤしどおし!しかも出ずっぱりなので、なにか起こったときに袖で対処するということができないのです。
うおー、明日は本番!やばいぞヒロシマ、どうなるヒロシマ!

P1060094 劇場の建物。







P1060098 仕込み風景その1。劇場はこんなふうに壁のないオープンな空間なのです。






P1060096 仕込み風景その2







P1060095 シュート中。







P1060093 ゲネプロ前の舞台。左端にあるのが大量のワインボトルとドラ。






P1060089 舞台裏です。







P1060090 楽屋。どっかでみたことある感じ。こういうとこは万国共通ですね。






P1060092 ここも楽屋。







P1060091 シャワールームもあります!充実してる。

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劇団に入る

冗談みたいな、ほんとの話。ドイツのセミプロ劇団にゲスト出演することになりました。

実は私の勤める小学校の校長先生が劇団を主宰していて、私が学生時代に芝居をしていたと言うと、一緒にやらないかと誘ってくださったのです。学校の先生が主宰だから子ども向けの芝居かと思い、気軽に「やりまーす」と言ったのですが、これがとんでもなかった…。

劇団名は「Theater in der Kreide」。ドイツ語で「一文無し劇団」というような意味です。ドイツの劇作家ブレヒトの作品をメインにやっていて、今年で結成10年目、校長先生以外のメンバーは全く学校と関係のない人たち。かなり本格的な大人向けの劇団でした。

チラシを見ると初日は5月18日。私が来たのは4月16日。おいおい、1ヶ月しかないよ!大丈夫か私?
(これを書いている頃にはもう初日を終えているのですが、その様子はまた後日。まずは稽古の様子からお伝えします。)

とりあえず通し稽古が4月20日にあると言われ、ドキドキしながら稽古場(小学校の講堂。さすが校長主宰)へ。
メンバーは校長(演出)、男性の役者が3人、あと音楽担当が一人。校長の9才と12才の息子たちも役者として出演します。以上。(え?照明さんは?)

演目は「Leben des Galilei(邦題「ガリレイの生涯」)」。ブレヒトは、気になりながら一度も読んだことがなかったのですが、なんとなく真面目っぽい印象があって、この作品も天文学者ガリレオ・ガリレイの苦悩を描いたお話だというから、なんか難しそうと思ってました。ところが、通し稽古を見ると…。

…え?…ブレヒトって…こんなんですかっ!?
サッカーユニホームの上にエプロンをつけたイタリア人が「マンマミーア!」とか言いながらガリレオの研究室に乱入し、大学の嫌味な事務局長はものすごいバイエルンなまり。哲学者はヒョウ柄タイツをはき、友人サグレドは禿げヅラに短パン。とにかくお笑いだらけ。客いじりも満載。そして下ネタがいっぱい!!なんだこりゃー!

ストーリーも知らないし台詞も聞き取れないし、もう訳が分からず、とりあえず真面目な芝居ではないという事だけが分かって稽古初日が終わりました。

稽古スタイルも日本とは全然違います。発声練習も集中時間もなく、いきなり通し稽古が始まるし(主演の役者と校長の息子は直前までサッカーして遊んでました)、演出はワッハッハッと大声で笑うし、BGMや効果音は即興の生演奏だし、台詞はしょっちゅう忘れるし。

でも主演のガリレイ役の役者さんが、ものすごくうまいんですよ。びっくりしました。思わず「プロですか?」と聞くと、「公務員です。でも魂は役者です。」ここらへんの事情は日本と同じなんですね(笑)

そして稽古スパンも公演スパンもめちゃめちゃ長い!「いつから稽古してるの?」と聞くと、「去年の6月くらいからかな?」信じられない。
本番は5月を皮切りに7月と9月以外は毎月約2回ずつあり、それが来年の夏まで続きます。私は来年の2月に帰国するギリギリまで舞台に立つことになりそうです。

ちなみに私の役柄は、ガリレイの助手(というか召使い?)で、名前は「ヒロシマ」(笑)。都市名かいっ!もちろん台本にはない役です。

次の稽古日までの間に、大慌てで両親に邦訳本「ガリレイの生涯」を送ってもらい、読んだのですが…。ん?「マンマミーア!」はどこ?あのお笑いシーンは?なんかめっちゃ難しいよ!

新演出というのは恐ろしいですねー。よくよく稽古を見ていると、台詞そのものはあまり変わってないのですが、シーンが大幅にカットされていて、アドリブがいっぱい入っています。台本では2人の女性が出てくるのですが、それもまるまるカット。その代わりの女っ気ということで私が投入されたようです。

あと真面目な話では、ブレヒトがこの芝居をアメリカで上演していた最中に、広島に原爆が投下され、急遽台本のラストを書き換えたという逸話があるようです。
教会の権力に屈した学者ガリレイと、国家権力と結びつき原爆を作ってしまった原子物理学者たちとがオーバーラップして、「学問と権力」というもともとのテーマがさらに強まったのだそうです。

そこらへんで、演出はなんかピンときたのでしょうね。「日本人女性、名前はヒロシマ!」
でもそれ以上のイメージは特になかったようで、指示されたのは「とりあえずガリレオの隣にずっと立ってて、しょっちゅうお辞儀して」というものだけ。日本人のお辞儀…ベタなネタですが、やっぱりウケるようで、演出は嬉しそうにワッハッハと笑います。でもそれ以外はほとんどやることなし。暇。出番長いのに。
しかもはじめは客席から登場するので、「客入れの時に折り紙を客に教えるんだ!」とか、「そうだ、箸で折ってみろ!」とか、思いつきで好き勝手なことを言われて混乱する私…。

本番まで稽古は全部で5回。どうなる、ちえぞう!続きを乞うご期待!

劇団HPはこちら。トップページの「Theater in der Kreide」と書いた黒丸をクリックしてください。
http://www.reinhard-staehling.de

P1050173 公演のポスター。左にいるのがガリレイです。






P1050170 稽古の様子。トリッキーでしょ?
右うしろに居るのが音楽担当のトーマス。ずっと舞台上でキーボード弾いてます。




P1060061 公演パンフレット。既に「スペシャルゲスト」として私の名前が印刷されてました。





P1060060 「ガリレイの生涯」の邦訳本とドイツ語版。

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小学校で働く

4月16日から、ミュンスターのGrundschiule Berg Fidel という小学校で、ゲストティーチャーとして働いています。

この小学校は公立なのですが、とにかく変わっています!まず児童の半数以上が外国人。といってもインターナショナルスクールみたいなのではなく、Berg Fidelというこの地域に外国人労働者がいっぱい住んでいるので、必然的にそうなっています。学校の近くには公営住宅がいっぱいあって、ほとんどの子がそこに住んでいるようです。

私のクラスだけ見ても、ポーランド、ポルトガル、アラブ系、アフリカ系、ロシア系、ボスニア系など、まさに人種のるつぼ。

とは言っても学校ではみんなドイツ語をしゃべっていますし、見た目や宗教は違うものの、基本的には一般のドイツの小学生と変わらない雰囲気です。

この学校の変わっているところはそれだけではありません。まずクラスが年齢別でなく、「縦割り」というのでしょうか、一つのクラスに1年生から4年生まで(ドイツの小学校は4年生までです)います。

クラスの名前もキツネ、カラス、カエル、イルカ、ヒマワリ、ヒナギクなど動物や花の名前になっています。ちなみに私のクラスは「ハリネズミ」クラス。ハリネズミは例外的に1、2年生だけのクラスです。
動物の名前のクラスは午前中だけ、花の名前のクラスは午後も授業があります。

それぞれの家庭の事情や学習進度がさまざまなので、ケースバイケースで対応できるように、こんなふうにたくさんの選択肢を用意しているのでしょうね。

もともとユニークな学校だったようですが、何年か前に新校長に変わってから、さらにユニークになったようで、縦割りクラスもこの校長先生のアイディアだそうです。「家庭、地域、大学、会社、すべていろんな年齢の人とうまくやっていかなければならないのに、学校だけ年齢別になっているのは不自然じゃないかい?」という考え方のようです。

授業はいくつかのグループに分かれてやることが多いです。でも、算数は2グループに分かれるけど芸術の時間はみんないっしょに、というように教科によって形はさまざまで、一斉授業風のときもあります。

また、クラス単位だけでなく、4年生だけ集めた英語の授業や、週一回の選択授業などもあります。

先生もいろいろ。ハリネズミクラスの担任は4人チームで、小学校教諭が2人と養護教諭が2人(他のクラスとかけもちですが)、プラス私です。職員室の前に先生方の顔写真と名前が貼ってあるのですが、みんな肩書きがさまざまで、まだよく理解できません。

こんな変わった学校なので、最初のうちはとにかくなにもかもややこしくって!子どもたちの名前も発音がややこしいし、時間割も全然覚えられない!やっとなんとかリズムがつかめてきた感じです。

私の役割は「日本文化紹介」ですが、夏休み(6月21日から)までは特に授業を持つことはありません。今はホストティーチャー兼ホストマザーのイルカのサポート的な役割です。イルカはハリネズミクラスの副担任の他、英語のクラスと「実験」の授業も持っているので、私も参加させてもらってます。

こんな、特殊な雰囲気の小学校で、初めは正直「もっと普通の学校がよかったなー」とも思いましたが、今はここで良かったと思っています。子どもたちがとても親切なのです。普段からドイツ語の苦手な友達や自分より弱い立場の友達と接しているだけあって、この学校の子どもたちはとても思いやりがあって、私がつたないドイツ語でしゃべっても、一生懸命聞いてくれます。

なかなか一度では書ききれませんが、またおいおい、このびっくり小学校ライフをお伝えします。
小学校のHPはこちら。
http://www.ggs-bergfidel.de

P1050219 私の勤める小学校。







P1050221 芝生の遊び場があります。







P1050145 職員室です。談話室みたいな感じ。







P1050144 申込の時に送った写真がこんなポスターになって貼られていました。成人式の時の写真なので、恥ずかしい!みんなに「誰?」と言われてます…(泣)


P1050158 校長先生。集会でギターを弾いているところ。






P1050228 Igel(ハリネズミ)クラスの教室。







P1050226 教材はこんなふうに整理されてます。







P1050227 みんなで話すときはこのベンチに集合。







P1050231 教室中いたるところにハリネズミがいてかわいいのです。これは教室のドア。






P1050232 子どもたちの描いたハリネズミ。







P1050223 クラスのマスコット、ハリネズミパペットのウリーです。

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新しい家、新しい家族

ミュンスター駅から車で40分。田園地帯の真ん中にぽつんと現れる小さな村ウェストキルヒェン(Westkirchen)に私は今住んでいます。

ホストファミリーはペルケ一家。お母さん(と言ってもわたしと5才しか年が違わないのですが…)のイルカ(Ilka)は、私がこれから勤める小学校の先生。私のホストティーチャーでもあります。クールビューティーだけど、あたたかい、素敵な女性です。

お父さんのローラント(Roland)は、自然食品の会社に勤めています。でも出勤日は育児バージョンで週3日。半分主夫なお父さんです。息子ヨッシー(Jossi)はもうすぐ5才、娘シャナ(Channah)は3才です。

最初の印象は、とにかく子どもが!失神しそうなほどかわいい!

特に下の女の子シャナが素晴らしい。見た目も食べちゃいたいほど愛らしいのですが、彼女は勘が強いというか、とってもユニークなのです。
3才ながら、自分に何ができて何ができないかよく分かっていて、朝ご飯の時にはテーブルの上にあるものをじっと眺めた後「このパンを切ってマーマレードを塗って。あとお水をください。りんごジュースはいりません。」というようにしっかりと注文します。注文の内容は毎日変わるので、彼女なりに毎回よく考えて決めているようです。

上の男の子ヨッシーはちょっとあかんたれですが、自分の得意なことには誇りを持っています。来てすぐの頃は、私が家族の3番目の位置を奪ってしまった感じでちょっと複雑でしたが、今徐々に仲良くなりつつあります。最近は私が日本から持って来たプラスチックの忍者刀でよくチャンバラして遊んでます。

子どもが中心の生活で、しかも外国人をかかえこんで、パパやママは大変そうですが、なんとか助けられればと思いながら、子どもたちともみくちゃになって遊ぶ毎日です。

P1050151 お家の玄関側。







P1050148 庭側。







P1050081 広い庭!







P1050080 子ども2人の為だけにこんな立派な遊具が!来たときは「か、金持ち!?」と思いましたが、田舎ではこれが普通のようです。




P1050083 砂場もあるのです。







P1050082 天気のいい日はここで晩ご飯。







P1050135 私の部屋。屋根裏ですが、かなり広いです。






P1050138 ソファーもあります。ありがたい。







P1050128 窓から見える景色。美しい。







P1050129 右手には畑が広がってます。







P1050131 子供部屋の横にはでっかい黒板があります。






P1050130 私が来た日にヨッシーがくれた絵。私が電車に乗ってやってくるところだそうです。





P1050139 三輪車をこぐシャナ。







P1050181 砂場で遊ぶ子どもたち。左にいるのがヨッシー。真ん中がいとこのマウリッツ。田舎なので、親戚はほとんど近所に住んでます。

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いもいも日記、再開です

約1ヶ月もお休みしてしまいましたが、やっとこさっとこ、ネット環境が整いましたので、ブログを再開させていただきます。
皆さんずいぶんお待たせしてしまってすいませんでした。

ミュンヘン時代の記事もドカッと更新しましたので、見てみてくださいね。

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