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箱入り&ゲネ

ヒロシマはガリレイの助手なので、ガリレイの出番がある時はほとんどいつも舞台に立っていなければなりません。なんと途中休憩が入るまでは出ずっぱりです。でも、やることといえばお辞儀と、たまにワインや洗面器を運んだりするだけ。「こりゃ、着物でも着ないともたないなー」と思っていると、2回目の通し稽古の前日、日本から着物が届きました。

実はドイツ行きが決まってから、半年ちょっとの間、着付けを習っておりまして、パーティーに呼ばれた時にでも着ようと思って日本から船便で送っていたのです。それがまさか舞台衣装になるとは…。

着物は案のじょう演出のお気に召し、「よしいいぞ、それだっ! ついでになんか日本の布を持っていないか!」と言われ、「着物を包んでいた風呂敷なら…」と見せると、「よし、それだっ!」ガリレイの隣でヒロシマが望遠鏡を捧げ持つシーンがあるのですが、その望遠鏡の下敷きとして我が家の紫の風呂敷がいきなり採用されました。

何度か稽古に通ううちに役者さんたちとも打ち解けてきました。
ガリレイ役のArmin(アルミン)は、前回書いたように役者魂の公務員。彼の演じるガリレイは研究のしすぎでかなりイカれております。客の一人に「博士!」と呼びかけたり、いきなりカエルのものまねをしたり(ガリレイはカエルが好きだったそうです。ほんまかいな)自転車を乗り降りするだけなのに「んー、難しい。危険だ…」と悩んだりします。そんな人の世話をしなければならないので、ヒロシマは大変です。

バイエルンな事務局長、教皇、哲学者役のNorbert(ノルベルト)は、整体師をしています。とても親切なおじさん。でも演技はかなり濃いです。

「マンマミーア!」なイタリア人役のVolker(フォルカー)はジャーナリストをしています。この人の演技が、もう、めちゃめちゃ濃い!ちょっとオゲレツの域に達しております…。幕間のナレーションもフォルカー担当。これも超イタリアーン。

校長の12才の長男Felix(フェリックス)はガリレイに天文学を教わるアンドレア少年役。新演出で、長髪にキャップ、自転車を乗り回す現代っ子になっています。この役はかなり重要で、本来子役がやる役ではないと思うのですが、彼は見事に演じています。

9才の次男Frederik(フレデリック)は、我が小学校の現役児童。フィレンツェ大公の役です。台本の設定も9才。お見事な配役!舞台に出るととたんに表情が変わります。もう立派な役者です。

そんな男臭い稽古場。みんな平気でパンツ一丁で着替えたりします。やーん、ちょっとは気を使ってよー。

みんなとの会話の中で「芝居はどれくらいやってたの?」と聞かれて、実は私は中学校から大学まで演劇部歴だけは長いので「10年くらいかな」と答えると、「おおー、ベテランだ!」と言われてしまいました。「日本ではどんな芝居をしてたの?」と聞かれるのですが、日本の小劇場ってなかなか説明しづらいですね。困ったあげくに「古典ではなくて、お笑いが満載で、ちょっとテーマ性があります」とへなちょこな説明をしてしまいました。

さて、講堂での稽古も終わり(と言っても3回だけでしたが)、5月16日、いよいよ本番で使う劇場に入りました。ミュンスターの北端にあるKinderhausという劇場です。

みんなもこの劇場を使うのが初めてらしく「なんだ、舞台が狭いぞ。広げろー」「椅子はどこだー」「楽屋はどこだー」という感じで戸惑いながら仕込みが始まりました。といってもほとんど素舞台なので、トンカン何かを作ったりはしない簡単なものです。でも私はドイツ語力がないので、指示をよく理解できなくて大変。「みんななんか慌ててるぞ、なんだろう?」というように、勘だけを頼りに動き回る私でした。

そして「場当たり」開始。気になる照明さんは演出自身でした(笑)
場当たりをして分かったこと…小道具の出し入れがもう大変!!
素舞台なので、場面転換のたびに小道具を配置しなければならないのですが、稽古の時はみんないらない物をそこらへんにぽいっと置いたりして適当にやってたので、今になって大混乱。おいおいっ、あたしゃずっと気になってたのだよ。

しかもここへ来てヒロシマがにわかに忙しくなってきました。場面転換のたびに大量のワインボトル(中身入り)を出し入れしなければならず、さらに幕間のイタリアーンなナレーションの始まりと終わりにでっかいドラを叩くことになりました。また演出が突然思いついたようです。「ドラは日本の楽器ではありません」と主張してみたのですが、「別にいいんだ」と一蹴されました(泣)。

出ずっぱりな上に暗転中にワイン、そしてドラ…。新たな段取りに頭がぐるぐるなりながら、5月17日、ゲネプロ(本番さながらの通し稽古)の日を迎えました。ちなみにゲネプロはドイツ語の「Generalprobe(ゲネラルプローベ)」の略。演出に「日本ではゲネプロって言うんだよ」と言うとかなりウケてました。

さてゲネプロの出来はというと…、
ボロボロでした。まったくもって。ワインは重いし望遠鏡はなくなるし、ドラは叩き忘れるし、初めて本物を使う小道具も多かったのでもたもたするし(通しの時から本物使ってちょうだいよ!)、もう最初から最後までヒヤヒヤしどおし!しかも出ずっぱりなので、なにか起こったときに袖で対処するということができないのです。
うおー、明日は本番!やばいぞヒロシマ、どうなるヒロシマ!

P1060094 劇場の建物。







P1060098 仕込み風景その1。劇場はこんなふうに壁のないオープンな空間なのです。






P1060096 仕込み風景その2







P1060095 シュート中。







P1060093 ゲネプロ前の舞台。左端にあるのが大量のワインボトルとドラ。






P1060089 舞台裏です。







P1060090 楽屋。どっかでみたことある感じ。こういうとこは万国共通ですね。






P1060092 ここも楽屋。







P1060091 シャワールームもあります!充実してる。

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コメント

ま、むこうにしてみれば日本も中国も韓国も香港も台湾もみーんな同じようなもんだからね。みんな中国人に見えるらしく、私もイタリアで「中国人?」ってきかれたよ。
一瞬何を失礼なと思ったんだけど西洋人からは東洋人の顔の区別なんてつかんわな。こっちがヨーロッパの人間見て何人かわからんように。まあ、イギリス人はなんとなーくわかる場合もあるけど。

何はともあれ、充実しているようで何より。
ところで、本来の目的って何だっけ?

>小学校のボランティア教師です。日本文化を教えます。
見た目の区別はつかなくて当然なんだけど、文化が混同されるのはちょっと寂しい気がします。フランス人に「あんたらピザばっか食べてるんでしょー」というようなものなので。でも圧倒的に中国文化の方がメジャーなのでしかたないですけどね。ホストファミリーでも「ほら、日本のドレスだよ」と、チャイナドレスを見せられたし、学校でもほとんどの子が合掌スタイルで甲高い声で「コンニチワ!」と言ってきます。

投稿: あき | 2007年5月23日 (水) 13時36分

なぜにドラちゃん・・・(違
大量のワインとか、奇妙奇天烈な演出で楽しそうですな。
役者さんたちの役作りも、あっち方面にぶっ飛んでいるようでなにより。

ところで、舞台の組み方も西洋は違うみたいやね~~~

>ワインは全部で12本…。なぜにそんなに必要なのか理解不能です。カンカン鳴らさないように運ぶのがとても難しい。シーンによっては同時にグラスやビールも運ばなければならず、袖はごっちゃごちゃです。一度液体の入ったグラスを入りはけの時にけってしまい、床を水浸しにしてしまいました。さすがに本物のワインではないけど、なんの液体だったのか、未だに謎です。着物にも跳ねちゃったので気になる。
舞台は机を並べてゴムっぽいパンチをひいただけのような、シンプルな作りでした。でも劇場の人が巨大な木槌みたいなのを使ってたのがドイツっぽくて面白かったです。

投稿: みずむし | 2007年5月24日 (木) 00時18分

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