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舞台に立つ!

幕前の音楽が流れ、舞台上をアンドレア少年が自転車でぐるぐる回り始めると、いよいよ開演です。
私は客席の片隅で観客のような顔をして、出番を待ちます。

よく「お客さんが入ると芝居が変わる」といいますが、まさにその通り。
化けましたねー。
ひとつひとつのお客さんの反応を感じながら、役者さんたちは1年間積み上げてきた物を舞台上で再構築しているようでした。

そんなふうに客として楽しめたのも束の間、いよいよヒロシマの出番です。
「紹介しましょう、日本からやってきたボンバスティックな私のアシスタント、ヒロシマ!」
ガリレイに紹介され、ヒロシマ登場!

あとはもう、無我夢中です。私の中のヒロシマのテーマは
「美しく、おかしく」。
しとやかな動きを心がけながら、暇にまかせていっぱい細かいネタを繰り広げました。もともと期待されていないので、お客さんがちょっとでも見てくれれば儲けもの、くらいの気持ちです。

何がドイツ人のツボにはまるか分からないので、思いつく限りの日本ぽいことを全部やってみました。床を雑巾がけスタイルで拭いたり(わりとウケました)、ワインボトルを茶道のお茶碗のように手のひらの上で回したり(これは不発)、大事な手紙で勝手に折り紙を折ったり…。

あとはリアクション命ですね。
ガリレイが変な事をするたびに顔をしかめてみたり、びっくりしたり、焦ったり、にやけてみたり。台詞の意味が分かる所ではできるかぎり表情をころころ変えて、細かい演技をし続けました。
舞台上に動きがない時を見はからっておもしろい表情をするなど、少々セコい手も使いつつ、地味に自己アピールをし続けていると…ん?なんだか手応えが…。見られてる感覚が…。

そして後半、見せ場がやってきます。フォルカー扮するクールな歌手が「ガリガリ、レイレイー!」とラップでガリレイを讃え、観客をあおりまくるライブシーンがあるのですが、そこでヒロシマは、舞うのです。
(もともと舞う予定ではなかったのですが、このシーンでヒロシマはどう振る舞うべきか分からなかったので、演出に「私も踊ったほうがいいんですか?」と聞いたら「どんな踊りだ?やってみろ!」と言われ、適当に盆踊りのような日本舞踊のような踊りを踊ってみたところ、えらくお気に召し、採用になったのでした)

最初はガリレイと一緒に戸惑っているヒロシマですが、そのうちに楽しくなってきて思わず踊りだしてしまう、という流れです。夢中で踊りきった瞬間、ピュー!と口笛が鳴り「ブラボー!」と拍手喝采!ああ、ドイツ人に一番ウケたのはやはり「舞い」でした。

ちなみにドイツのお芝居では、暗転のたびに拍手するという習慣があります。なんか流れが断ち切られるようで、観客としてはあまり好きではなかったのですが、役者の立場になってみると、「よかったよ!次のシーンも頑張れ!」と言ってもらっているようで、とてもありがたかったです。

心配だった舞台転換も、ワインボトルがカンカン鳴ったり幕が重なっていてはけ口が見つからなくてうろうろしたり、という小さなトラブルはあったものの、なんとか乗り切り、最後のシーンまでたどり着きました。

「私は自分の職業を裏切った…」と語るガリレイの独白でこの物語は終わります。アルミンの素晴らしい語りに袖で感動し、(客席で見れないのが残念…)、さあ、カーテンコールです。一人一人舞台に登場すると、なんと、ヒロシマにものすごい拍手が!やっぱりみんな、見てくれてたんだ!ほんとにほんとに嬉しくて、最大限深々とお辞儀するヒロシマでした。

演出も舞台に上がり、みんなでご挨拶。初日って特別なんですね。演出から役者に、バラの花のプレゼントがあったのが素敵でした。

芝居が終わった後も、お客さんはなかなか帰りません。特に初日は知り合いや関係者がたくさん来ているらしく、役者も含めてみんなで芝居について語り合っています。
真っ先にイルカの所に行くと、開口一番「おめでとう!」(ドイツではこういう時「おめでとう」っていうんですね。他の人にも言われました。初日おめでとうということなのかな?)
「すごいじゃない。こんなに出来るとは思わなかった。」「特に踊りがよかったよ!(笑)」とイルカもお姉さんもべた褒めしてくれました。

他の人からも、「ずっとあなたの表情を見てたよ」「ガリレイとのコンビネーションが素晴らしかった」「いい女優だね!」と、予想以上のお褒めの言葉!(ただ、いろんな人が話しかけてくれたのに、ドイツ語力がなくて会話が続かないのがとても残念でした…)

倒れそうなくらい不安を抱えて出発した朝から一転、ものすごく晴れやかな気持ちで帰宅しました。

2日目も、小さなハプニングはあったものの、無事終了。初日に比べて知り合いは少なかったのですが、おかげさまでヒロシマはお客さんに愛していただけました。
一生懸命セリフをしゃべっている他の役者さんに申し訳ないくらいです。もしかしたらいままで演じた中で一番「おいしい」役かもしれません。
演出も、「すばらしい!能の世界だ!」とわけのわからないコメントで褒めてくれました。

ライトを浴びて舞台に立てる喜びを、異国の地であらためて感じているちえぞうです。ああ、楽しい…。こんどの日曜も本番です!

P1060126 舞台袖。んー、ワクワクします。







P1060121 音楽担当トーマスも、本番ではこんな格好。






P1060120 アンドレア少年が自転車で舞台上をぐるぐる回り始めると、いよいよ開演です。






P1060123 ガリレイ登場。まずはお客さんにごあいさつ。






P1060124 お客をいじるガリレイ。







P1050977 ライブシーン!始めはしぶしぶ拍手するヒロシマですが…、






P1050976 最後にはこうなります。舞いきった瞬間!






P1060105 カーテンコールでもアンコールのもうひと舞い。






P1050981 ありがとうございました!







P1060125 おまけ。休憩中、袖から客席をのぞく兄弟。

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コメント

お疲れ様です。ちえぞうさん。

お客様に愛され、ライトを浴びる幸せ、
しかも異国の地で、
また「お芝居」を楽しんでいるのを見て、
こちらも幸せな気分を分けてもらいました。

コロコロ表情を変えているトコロが
想像ついて、あぁ、ドイツに行けたらな、と
思ったのはW杯以来ですよ 笑

しかし、舞台袖ってのは
いつ見てもワクワクしますな。

ところでボンバスティックて、なんすか。
ダイナマイトバディ(死語)ってこと
なんすかねぇ。語感的になんとなく。

P.S. このブログかわいらしいですね。
子供の絵本みたいで。

>ちえぞうです。コメントありがとう!舞台のワクワク感、共感してもらえて嬉しいです。このブログの絵は絵本作家「たんじあきこ」さんのものです。編集者をしていた時に一度依頼をしたのですが忙しいと断られてしまいました(泣)という訳で面識はないのですが、かわいくて大好きなイラストです。
ちなみにボンバスティックというのは「爆発的」「破壊的」というような意味で、暗に原子爆弾をイメージさせているのだと思います。
少なくとも私はダイナマイトバディではありませんので…。ご存知のように(泣)。

投稿: mecajima | 2007年5月26日 (土) 22時29分

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