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劇団に入る

冗談みたいな、ほんとの話。ドイツのセミプロ劇団にゲスト出演することになりました。

実は私の勤める小学校の校長先生が劇団を主宰していて、私が学生時代に芝居をしていたと言うと、一緒にやらないかと誘ってくださったのです。学校の先生が主宰だから子ども向けの芝居かと思い、気軽に「やりまーす」と言ったのですが、これがとんでもなかった…。

劇団名は「Theater in der Kreide」。ドイツ語で「一文無し劇団」というような意味です。ドイツの劇作家ブレヒトの作品をメインにやっていて、今年で結成10年目、校長先生以外のメンバーは全く学校と関係のない人たち。かなり本格的な大人向けの劇団でした。

チラシを見ると初日は5月18日。私が来たのは4月16日。おいおい、1ヶ月しかないよ!大丈夫か私?
(これを書いている頃にはもう初日を終えているのですが、その様子はまた後日。まずは稽古の様子からお伝えします。)

とりあえず通し稽古が4月20日にあると言われ、ドキドキしながら稽古場(小学校の講堂。さすが校長主宰)へ。
メンバーは校長(演出)、男性の役者が3人、あと音楽担当が一人。校長の9才と12才の息子たちも役者として出演します。以上。(え?照明さんは?)

演目は「Leben des Galilei(邦題「ガリレイの生涯」)」。ブレヒトは、気になりながら一度も読んだことがなかったのですが、なんとなく真面目っぽい印象があって、この作品も天文学者ガリレオ・ガリレイの苦悩を描いたお話だというから、なんか難しそうと思ってました。ところが、通し稽古を見ると…。

…え?…ブレヒトって…こんなんですかっ!?
サッカーユニホームの上にエプロンをつけたイタリア人が「マンマミーア!」とか言いながらガリレオの研究室に乱入し、大学の嫌味な事務局長はものすごいバイエルンなまり。哲学者はヒョウ柄タイツをはき、友人サグレドは禿げヅラに短パン。とにかくお笑いだらけ。客いじりも満載。そして下ネタがいっぱい!!なんだこりゃー!

ストーリーも知らないし台詞も聞き取れないし、もう訳が分からず、とりあえず真面目な芝居ではないという事だけが分かって稽古初日が終わりました。

稽古スタイルも日本とは全然違います。発声練習も集中時間もなく、いきなり通し稽古が始まるし(主演の役者と校長の息子は直前までサッカーして遊んでました)、演出はワッハッハッと大声で笑うし、BGMや効果音は即興の生演奏だし、台詞はしょっちゅう忘れるし。

でも主演のガリレイ役の役者さんが、ものすごくうまいんですよ。びっくりしました。思わず「プロですか?」と聞くと、「公務員です。でも魂は役者です。」ここらへんの事情は日本と同じなんですね(笑)

そして稽古スパンも公演スパンもめちゃめちゃ長い!「いつから稽古してるの?」と聞くと、「去年の6月くらいからかな?」信じられない。
本番は5月を皮切りに7月と9月以外は毎月約2回ずつあり、それが来年の夏まで続きます。私は来年の2月に帰国するギリギリまで舞台に立つことになりそうです。

ちなみに私の役柄は、ガリレイの助手(というか召使い?)で、名前は「ヒロシマ」(笑)。都市名かいっ!もちろん台本にはない役です。

次の稽古日までの間に、大慌てで両親に邦訳本「ガリレイの生涯」を送ってもらい、読んだのですが…。ん?「マンマミーア!」はどこ?あのお笑いシーンは?なんかめっちゃ難しいよ!

新演出というのは恐ろしいですねー。よくよく稽古を見ていると、台詞そのものはあまり変わってないのですが、シーンが大幅にカットされていて、アドリブがいっぱい入っています。台本では2人の女性が出てくるのですが、それもまるまるカット。その代わりの女っ気ということで私が投入されたようです。

あと真面目な話では、ブレヒトがこの芝居をアメリカで上演していた最中に、広島に原爆が投下され、急遽台本のラストを書き換えたという逸話があるようです。
教会の権力に屈した学者ガリレイと、国家権力と結びつき原爆を作ってしまった原子物理学者たちとがオーバーラップして、「学問と権力」というもともとのテーマがさらに強まったのだそうです。

そこらへんで、演出はなんかピンときたのでしょうね。「日本人女性、名前はヒロシマ!」
でもそれ以上のイメージは特になかったようで、指示されたのは「とりあえずガリレオの隣にずっと立ってて、しょっちゅうお辞儀して」というものだけ。日本人のお辞儀…ベタなネタですが、やっぱりウケるようで、演出は嬉しそうにワッハッハと笑います。でもそれ以外はほとんどやることなし。暇。出番長いのに。
しかもはじめは客席から登場するので、「客入れの時に折り紙を客に教えるんだ!」とか、「そうだ、箸で折ってみろ!」とか、思いつきで好き勝手なことを言われて混乱する私…。

本番まで稽古は全部で5回。どうなる、ちえぞう!続きを乞うご期待!

劇団HPはこちら。トップページの「Theater in der Kreide」と書いた黒丸をクリックしてください。
http://www.reinhard-staehling.de

P1050173 公演のポスター。左にいるのがガリレイです。






P1050170 稽古の様子。トリッキーでしょ?
右うしろに居るのが音楽担当のトーマス。ずっと舞台上でキーボード弾いてます。




P1060061 公演パンフレット。既に「スペシャルゲスト」として私の名前が印刷されてました。





P1060060 「ガリレイの生涯」の邦訳本とドイツ語版。

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コメント

すげー、貴重な体験してるなぁ!!がんばって!!!
わたしもむこうでプチ演出したことあるよ。ドラマの授業で、5人くらいのグループでやるんだけど、私が「こういうふうに動いて!」「こんなふうに台詞言って!」とか言って・・・(笑)日本も欧米のようにもっと授業にドラマ取り入れたらいいのにねぇ。
とにかくちえっちふぁい!!見に行けないのが残念だぁ・・・。

>ちえぞうです。ありがとう!そうねー、こっちは「演劇」ってのが日本よりも身近な感じがします。「芝居やってます」と言うと日本では変わり者扱いされますが、こっちでは「ピアノやってます」と同じレベルで見てもらえる感じです。

投稿: まいっちん | 2007年5月21日 (月) 10時17分

めっちゃ見たいめっちゃ見たい
箸で折ってるとこめっちゃ見たい(わはははははは)
その本手に入れるの大変やったんよ。絶版で。
お母さんぼろぼろのへとへとになってしもたんやから。
母への愛と感謝の心を込めて、
精いっぱいおじぎするがよい!

>ちえぞうです。ええっ、ぼろぼろのへとへとっ?ごめんなさいお母さん。親不孝な娘です。

投稿: にーな | 2007年5月21日 (月) 12時36分

わあっ
ビデオは無いのかっ

ヒロシマよっ

投稿: 実生 | 2007年5月22日 (火) 04時53分

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