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2007年9月

夏の旅日記(後半)

もう一ヶ月以上経ってしまって、何を今さら、という感じなのですが、夏休み旅行の後半戦について記しておこうと思います。

8月6日
ミュンヘンで一人待機中だった10日間がやっと終わった日。
夜8時頃、日本から遊びにくる4人のお友達をミュンヘン空港に迎えに行きました。
大学時代に地元の読み聞かせサークル「おはなしばすけっと」に入ったことで知り合った奥様2人と、高校時代からの仲良しNちゃん(♀)とGアン(♂)という異色の5人組で7日間の旅。
さて、どうなりますことか。
ミュンヘンでは節約のため、なんとホステルに5人一部屋で泊まりました。
「さっそくシーツをかけましょうー」と修学旅行みたいなノリで、旅の始まり始まり。

8月7日
近所のパン屋さんに朝ご飯を買いに行き、ノリでケーキまで買ってしまってみんなでつつき、その後すぐミュンヘンを抜け出してローテンブルクへ。
着いたとたん天気があやしくなりはじめました。
町並みを楽しんだり、博物館を見たり、お買い物したり…。
夜にはもちろんちえぞう行きつけの(?)じゃがいも料理レストランへ行き、大満足。

P1080753_9 ジャガイモを使ったコルドンブルー。ひえーたまらん。








Imgp1447_2 その後城壁の上を歩いて宿へ。城壁の上は何度通ってもおもしろい。











その後、私とGアンだけ「夜遊びしようぜぇ〜」と夜のローテンブルクをほっつきあるき、「Zur Hoell (地獄亭)」という名のレストランへ。
どんなジゴクのような目に遭うのかと思ったら、お店のおじさんはとってもいい人で、ワインもおいしく、地元の人とも楽しくおしゃべりできて、名前と裏腹に天国のようなところでした。

P1080769 しかし、お店の中には、いたる所に悪魔がおりました。








8月8日
早朝のローテンブルクを散歩。
P1080780 城壁の上で、ええ感じの写真と…









P1080781 アホな写真を撮り…、














P1080798 看板通りも写真におさめて、満足満足。








落ち着いている暇もなく、今日も移動です。
ライン川沿いの古城ホテル目指して、ひたすら西へ西へ。
我々の願いもむなしく、今日も、雨です…。

まずはリューデスハイムのワイン屋さんへ。
ライン川沿いのうまいワインを日本へ送ろうと、みんなで頑張りました。

その後、ライン川下り! 私も初体験でした。
日本人は「川下り」というと屋形船みたいなのを想像してしまいがちですが、私たちの乗った船はかなり大きくて、室内のテーブルに陣取っていたのですが、「○○城が見えるぞ!」となったら屋外に繰り出して雨風と戦いながら写真を撮るというサバイバル。
とにかくシブくてかっこいい、城塞系の城がゴロゴロありました。

ローレライも見ましたよ。
「がっかり名所」とか言われ、確かにただの岩山なのですが、なんというか、その存在感には圧倒されるものがあって、「もっと見たいなー」と思わせられました。

そして、この川下り中の名所の一つ、「シェーンブルク城」に、
泊まったんですよ! 私たち!
うひー、ゼイタク〜。初めての古城ホテルです。

P1080978 じゃーん。こちらでございます! 守っておりますよ。敵から。がっちり守るための城ですよ。







私とNちゃんとGアンは、本館とは別の「離れ」みたいな建物の3人部屋、奥様2人は塔のてっぺんのライン川がバーンと見下ろせる贅沢ルーム。
もともとホテル用に作られた建物ではないので、部屋と部屋との距離がかなりあるのが面白かったです。

しかしまあ、素敵すぎる! あまりに浮世離れした世界でした…。

P1080937 こんな塔があったり…















P1080951 こんなゴージャスな図書室があったり…











P1080902 天蓋つきベッドですよっ












P1080910 テーブルを開くとチェス板ですよ。そしてシェリー酒ですよっ











P1080875 入り口なんてこんなんですよ。












P1080873 そらこんなええ写真も撮れますよ。












P1080895 そして部屋の鍵は騎士ですよ。身長はリンゴ2つ分(笑)










もう、みんなヒャイヒャイはしゃぎましたね。
ちょっとドレスアップして、ディナーしたり、撮影大会したり。
当然「わが領地へようこそ」ごっこもしましたよ。
素晴らしかった!騎士の城!

8月9日
チェックアウトを遅めにして、この日もぎりぎりまで城探険。
去るのがもったいなかったですねー。
「ああ、わが城…」
と、うしろ髪引かれる思いで下界へ。
相変わらずお天気は、悪いです。

この日はとにかく移動日。ミュンヘン目指してひたすら南下です。
でも車内で食堂車を体験してみたり、持って来たあやとりで遊んだりしていたら、6時間の移動もあっという間でした。
ミュンヘンに着いたら素敵なおもちゃ屋さん「Kunst&Spiel」をのぞいてから、名物ホーフブロイハウスへ。
ビール、でっかいプレッツェル、白ソーセージなどを堪能しました。

8月10日
この日は、ちえぞうガイドによるミュンヘンマニアックツアー。
まずエンデのお墓参り、その後、国際児童文学館へ。
事前予約しておいたので、すべての部屋を見せてもらうことができました。

一人でミュンヘンに住んでた頃はしつこいほど足を運んでいた国際児童文学館ですが、エンデ・ミュージアムに入ったのは実は今回が初めて。
(7年前には1度来たのですが、あまり記憶がありません)
エンデの作品はよくお芝居にもなっていて、そのチラシなんかも展示してあったのですが、よく見るとミュンヘンで自分が行った劇場が会場になってたりして、「おおー、あそこか〜」と血圧上がりましたね!

P1090001ほらー、 エンデさんの眼鏡ですよー。(変態っぽくて失礼)








その後ミュンヘンの町中へ。
フラウエン教会の塔にのぼり、街を一望しました。

Imgp1551 なかなかええでしょ。新市庁舎が工事中なのがちょっと残念。











そのあと、ヴィクトアリエンマルクトで搾りたてのジュースを飲み、各自お買い物タイム。

8月11日
さあ、いよいよ旅のハイライト、みんな大好きノイシュヴァンシュタイン城ですよー。
朝イチでフュッセンへしゅっぱーつ!
しかし…。
雨です。霧です。
ものすごく近くまで寄ってるはずなのに、
城が…みえない…。
最高のアングルでお城を拝めるはずのマリエン橋からも、
みえない…。
真っ白…。
しかも週末なので人が多くてもう大変。

とりあえずお城の中を見学しました。
昔来た時は、洞窟の部屋を見て、「きゃー、こわっ。ルートヴィヒ2世、変態っ」とか思ったものですが、
今回ガイドを聞きながら回ってみると、なんというか、ちょっとしんみりした気分になってしまいましたね。
自分の王としての立場を物語の主人公と重ね合わせて、必死に自分を励まそうとしてたルートヴィヒ2世。こんな豪勢な城を建てたのも、オペラマニアだったのも、自分の存在価値を見失わないため、彼なりの生きるすべだったんだろうな〜と、少し切なくなりました。

お城から出て、お山を下る頃、なんと奇跡的に、お天気が回復してきたのです!
いやーよかった!ほんとによかった!
姿を見せてくれましたよ、ノイシュヴァンシュタイン城!

Imgp1588 じゃじゃじゃーん!









それだけで飽き足らない我々は、タクシーで、近くの村にある塩水温泉「クリスタルテルメ」へ。
水着着用のクアハウスなのですが、屋外でノイシュヴァンシュタイン城を眺めながら流れるプールに流される私たち…。
視界を左から右へ流れて行くノイシュヴァンシュタイン城…。
なんともゼイタクなひとときでした。
体もあたたまり、疲れも吹き飛び、ほんとよかったです。
おすすめですよ、クリスタルテルメ。

8月12日
7日間の旅も最終日。この日はミュンヘンでゆっくりしました。
ホステルのそばのカフェで朝ご飯をして、ニュンフェンブルク城へ。
この日はお天気もよかったので、いい感じでしたよ。

Imgp1621 私、実はこのお城だいすき。









馬車博物館なども見学して、再びミュンヘンの町中へ。教会など、市内観光をしました。そして私はホーフガルテン内のカフェで、大好きなこの方に再会。

P1090021 アイスショコラーデさんでーす!うまいっ。ドイツの夏のアイドル。








そして、晩ご飯。みんなにとってドイツ最後のディナーはというと、やはり…

P1090022 ここでしょう〜
Kartoffelhaus(いもハウス)









念のため言うと、私がむりやり連れてったんじゃないですからね。
みんなのリクエストがあったんですからねっ。
…というわけで、素晴らしいシメでした。うまかった。当然。

宿に帰ったらみんな荷物整理に大わらわ。(結局一番苦労してたのは私でした…)
それでも夜中、バーに飲みに行ったNちゃんとGアンと私。ええ夜でした〜。

8月13日
朝イチで帰国組は空港へ。私とNちゃんは居残り組。なんと私たち、さらにオーストリアへと旅立ちました!
旅は、まだまだ続きます…。


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ドイツで〜 ちえぞうが〜 活版印刷工房に〜 であったぁ〜〜(後編)

さて金曜日、約束の時間に工房を訪れると、奥で機械のお手入れをしていたクリスタさんは、「あら、来たのねー」と、やはり何年も前からの知り合いのように出迎えてくださりました。

「はいはい、じゃあまず、これをつけてね」
と最初に手渡されたのはエプロン。
あらら、私も? と思いながら、とりあえず装着しました。

まずはどんな物を刷るか、作戦会議です。
名刺がいいなーと思っていたのですが、あまり具体的には考えていなかった私。
「文字だけじゃなくてお花とかの活字もあるよ」
とのことだったので、動物もあるかと聞いてみると、
「ほら、ここに。」
ジャンと引き出しが開き、中にはありとあらゆる動物の活字がぎっしり!
「うひゃ〜、すごい〜」と急騰するテンションをおさえながら私が選んだのは、やはり「ちえゾウ」のゾウさんでした(笑)

「文字は? 住所や電話番号も入れられるよ」
とのことでしたが、今後変わる可能性のことも考えて、シンプルに名前だけにしました。
(今思えばメールアドレスくらいは入れといてもよかったなーという気がします…)

プランが決まり、いよいよ組版開始。
再びマイスターの奥義が目の前に〜!

パッパッパッと活字の入った引き出しを開け閉めし、必要な活字をぽいぽいと拾い、込め物(空間を埋めるための、文字の彫られていない金属板)を膨大な種類の中から適切に選び、手元で素早く組んでいく…。

あらあらと思っている間にあっという間に、このように組み上がりました。

P1090485 手前に写っているのは、組版用の器具です。










「じゃあ、試しに刷ってみましょう!」ということで、輪転機のもとへ。
インクの缶をあけ、コテのようなようなもので輪転機のドラムにちょいちょいと塗りつけていきます。
P1090492 これがインク。










P1090504 「インクはちょっとでいいのよ」と言いながら作業するクリスタさん。








輪転機のスイッチを入れると、ぐるんぐるんとドラムが回り、あっという間にインクがのばされていきます。

P1090505 ほんのちょっと塗っただけなのに、のびるとこのような感じに。








名刺サイズの幅に切った紙と、先ほど組んだ版をセットし、ハンドルをぐるんと回すと、一枚刷り上がり。
刷った物を見ながら、ゾウの位置や字間の調整などをして(これまたマイスターの秘技登場!)、
ちえぞう名刺の版が完成しました。いよいよ本刷りです。

私が「二色刷りにしたい」と贅沢を言ったので、まずは赤色で刷るゾウさんだけをこのようにセット。
P1090500 下と右を強力磁石で固定しています。










何枚か刷って「これでOKね」となったところで、クリスタさんがひと言、
「じゃあ、やってごらん」

…え?
…やって…ごらん…?

輪転機は見るからに年代ものだし、クリスタさんの手つきはまさに職人技。
こんなド素人が大事な機械に触ってもいいんですか!?
…と、恐れおののいてる暇もなく、マイスターの指導がはじまりました。
P1090495 まずこのペダルを踏むと…










P1090494 紙を挟んでる丸いやつがちょっと持ち上がるので、このように紙をセットして…









P1090499 ハンドルをぐるんと回すと、このように全体が版の上をガショーンと左から右へ移動し、









P1090497 このように刷り上がります。










最後まで回しきったら紙をはずし、ハンドルを逆に回してもとの状態に戻します。

一見簡単そうなのですが、このハンドルがけっこう重くて、しかも回したり止めたりする力加減がけっこう難しいのです。

P1090493_2 びびりながら作業する私。クリスタさん撮影。













力加減を間違えて何度もガシャーン!ガシャーン!とでかい音をたててしまい、そのたびに
「ひい〜、壊してしまう〜っ」
と焦りながら作業を続けていると、なんとマイスター、
「私、ちょっと買い物に行ってくるから、その調子でやっといてね」

…出て行ってしまいました。
このどこの者とも分からない外国人一人に大事な工房を任せて…。

「なんだこれ。なんでこんなに信用されてるんだ。もし私がいろんな物を盗んでトンズラしたらどうするんだ!(しないけどさ〜)」
と、かなりたまげました。

ガションガションと一人ぼっちで作業し続けている間、「この状況、何かに似てるよなー」思ってて、その時気づいたんです。

これは、ウルルンじゃないか。
こういうのを、「世界ウルルン滞在記」というのではないか!
と。

長年修行を積んだプロのところへ突然押しかけて、超短期間の弟子にしてもらう。
これで最後に自分でデザインした作品をマイスターにプレゼントしたりすれば、完璧にウルルン滞在記ですよ。

てなことを考えながら大量のゾウさんを刷り終わった頃、「いけてるー?」と言いながらクリスタさんが帰ってきました。

次は黒字で名前を刷ります。
ドラムと組版についた赤いインクをきれいに拭き取り、黒インクを新たに塗り直さなければなりません。
この作業がけっこう大変。根気よく雑巾でドラムをこすり続けなければならず、気分はすっかりお弟子さんです。

インクと版のセッティングができたら、また同じ作業の繰り返し。
いやあー、重労働でしたね。
そしてついに…、

P1090502 じゃーん!実際はこの倍はあったので、全部で120枚くらいでしょうか。誰だ、30〜40枚と言ったのは(笑)








「みんな私の作品は高いというけれど、この作業を体験した後はそんなこといわなくなるのよ」
とクリスタさん。
…たしかに何も言えません。もうへとへとです。こんな事を毎回しているあなたはすごいです、マイスター。

最後に紙の上下を名刺サイズに合わせて切って、完成!!バンザ〜イ!
と喜んでいたのは私だけでなく、クリスタさんも満足そう。
完成した名刺を「私も記念にもらうわね」と2枚、大事にとっておかれたのが、私としても非常に嬉しかったです。

工房に来たのは12時半、できあがったのは16時ごろ。
実に3時間半におよぶ作業でした…。
へとへとに疲れたけれど、なにもかも面白くて、クリスタさんにいろいろ教えてもらえたのも幸せで、つい最後に
「弟子はとらないんですか?」
と尋ねてしまったほど。

「弟子はいないのよ。もう年だし、そんなに作業しないからアシスタントは必要ないしね」
とのお答えでした。もったいないー。こんな素敵なマイスターなのに。

最後にきっちり包装までしてもらって、私の名刺は完成しました。
せめて紙代とインク代だけでも払わないと、クリスタさんの方に足が出てしまうと思い、そう言ったのですが、
「その話はもうしたでしょ。お金はいらないの!」
と強く言われてしまいました。それどころかパンフレットやポストカードまでいろいろもらってしまい、恐縮しきって工房をあとにしたちえぞうでした。

別れ際に「ウルルン」はありませんでしたが、それは再会を約束したから。
クリスタさんはフランクフルトのブックメッセでも毎年ブースを出されているらしく、
「10月にまたフランクフルトで会いましょう!」
と約束したのです。

大好きなマイスターに会うためにも、フランクフルト、ぜったい行こうっと。

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ドイツで〜 ちえぞうが〜 活版印刷工房に〜 であったぁ〜〜(前編)

そう。ウルルンです。夏の旅行の間に、実は私、ウルルン体験をしてしまいました。

「活版印刷」というのをご存知でしょうか?
鉛でできた文字のはんこ(「活字」といいます)を並べて版を作り、そこにインクをのせて刷るという昔ながらの印刷方法です。

レイアウトから製版まで全部デジタルでできてしまう現在、この超アナログ印刷は絶滅寸前だそうですが、いらなくなった機械や活字を印刷所から譲りうけて細々と活版印刷を続けている工房が、日本にも世界にもまだいくつかあるそうです。

ミュンヘンにもそんな小さな工房があるということを仲良しの編集者Tさんに教えてもらったのは、日本を発つ前でした。
「気軽に見学させてもらえるし、その場で作品も買えるし、オススメだよ!」
とのことだったので、ミュンヘンにいる最初の2ヶ月の間にぜひ行こうと思っていました。
ところが何度電話しても留守番電話…。ついに時間切れとなり、ミュンヘンを去ってしまいました。

今回夏の旅行で再びミュンヘンにやってきて、友人が来るまで時間があったので、よし今度こそは!と、また何度か電話してみましたが、やっぱり留守電…。
こうなったらイチかバチか、押しかけるしかない! ということで、8月1日水曜日、住所だけを頼りに単身乗りこむことにしました。

地下へ続く目立たない小さな階段の奥に、活版印刷工房「Fliegenkopf」と書かれた小さな扉…。
あける時はかなりドキドキしましたね。なんせアポなし突撃ですから。
でっかい頑固オヤジに「こら!」って言われたらどうしよう〜とびくびくしながらノックすると、中から「どうぞ〜!」と、明るい声。

ドアを開けると、なごやかに談笑中の男女3人。
「いらっしゃいー、ようこそー!」と予想外のウェルカムです。
どぎまぎしながら自己紹介をし、3人の輪の中に入れてもらいました。

3人の中で、ペラペラペラっと快活によくしゃべるすごく人の良さそうなおばちゃんが、工房のご主人クリスタさんでした。

植字工のマイスターとして修行を積み、定年後独立してこの工房を作ったそうです。
主な活動は、活版印刷を生かした作品作りやワークショップ。
週に何回か手伝いにきてくれる相棒はいるものの、基本的に一人でマイペースにやっているので毎日工房に来るわけではなく、水曜はたまたま出てくる日だったそうです。

いやー、なんてラッキーな私!

あとの2人は私と同じように見学に来ていた人たちで、その方々の質問に便乗させてもらう感じでたくさんの作品ファイルを見せてもらったのですが…、

す、すげーーー!!

正直「活版印刷=昔の印刷」くらいのイメージしか持っていなかった私には衝撃でした。

これが活版か!
これがタイポグラフィーというやつか!
文字って、なんて…、
美しい〜!

特に凝った色や絵を使っているわけでもなく、ぶっちゃけて言えば文字が並んでいるだけ。
レイアウトだってパソコンで作ってしまえばちょちょいのちょいに見えるのですが…、

違うんですよねー。
なんといっても空間が絶妙なんです。全ての字間、空間にスキがない。
文字の世界をを知り尽くしたマイスターだからこその芸術作品、という感じでした。

ポスター、しおり、豆本、グリーティングカード、絵本作家や製本職人とのコラボレーション作品や日本から取り寄せた和紙を使ったジャバラ式の本…次から次へと見せてもらって、私はもう興奮状態。
すっかり文字の世界のとりこになってしまいました。

2人のお客さんが帰った後も、名残惜しくて一人で直売コーナーのしおりなどをあさっていた私。ふと前を見ると、ちっちゃな金属の板がたくさん置いてあります。
勇気を出して「これは何に使うんですか?」とクリスタさんに聞いてみました。

するとクリスタさん、「これはね…」としゃべりながら、突然素早い手つきで版を組み始めるではありませんか。
おおー、マイスターの技が目の前に!すごい!贅沢!

さらに、
「例えばCHIEというのはね…」
と、活字の入った引き出しをあけ、私の名前を組み始めるではないですか。
おおー、マイスターが!私のために!目の前で!活字を!
ひろって!く、れ、て、い、る〜!!

きゃーっ、いいのいいのっ?
と思っている間にあっという間に組み上がり、
「これ、せっかくだから刷ってあげたいけど、今日はもう印刷機のインクが乾いちゃったからできないのよ。残念ねー」
いえいえ! そんなそんなっ! 恐れ多いです!

「そうだ、いつまでミュンヘンにいるの? 金曜か日曜日あいてる? また来たら、名刺とかカードとか刷ってあげるよ」
ひゃ〜!! そんなの、ありですかっ?ありなのですかっ!
……あ、え、でも、それはその…お値段、の方は…?

「30枚や40枚刷るのなんか、タダよ。気にしないで」
うはーっ! なんという展開っ!

というわけで、鼻息も荒く「金曜のお昼に来ます!」と約束して帰ろうとすると、「私も帰るから、いっしょに出ましょう。そうだ、トラム(路面電車)で帰りましょう。その方が楽しいから!」
と、うきうきとトラムの停留所に向かうクリスタさん。

そこから私の降りる中央駅まで、景色を見ながら「これがイザール川でね、これがオペラ座で…」と、まるで観光ガイドのように説明をしてくれるマイスター。
なんだこれは…。まるで旧知の仲のような雰囲気ではないですか。

クリスタさんの持つあまりに温かい雰囲気に包まれ、トラムを降りて一人になった私は、充足感のあまりしばらくぼへーっとしてしまったのでした。

いやあ、これを人徳というのでしょうね。

P1090482

小さな入り口を入ると…









P1090484

壁にはクリスタさんの作品の数々。









P1090483_2

カオス!








P1090503

これ、大好き。









P1090486

活字がぎっしり詰まった棚。今はもう生産されていないので、のみの市なんかで買い集めているそうです。お宝…!






P1090487

直売コーナー。目移りしてしまって選べません。







P1090489

詩の一節をモチーフにしたジャバラ式豆本が特に素敵でした。これは全部広げて並べたカタログ。






P1090491

仕事場です。とってもこぢんまり。








というわけで、前編はこのへんで。次回、さらに濃い出来事が待っております。
お楽しみに〜。

(活版印刷工房「Fliegenkopf」のHPはこちら。クリスタさんの作品もいろいろ見られます)
http://www.fliegenkopf.pixellook.de/fliegenkopf.htm

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