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ドイツの魔女まつり

先日、上野の国際子ども図書館で行われた講演会「シリーズ・いま、世界の子どもの本は?第1回」に行ってまいりました。

私の大好きな角野栄子さんの講演「魔女からみた世界の子どもの本」をはじめ、台湾の子どもの本事情についての詳しいお話など、盛りだくさんの内容で、おなかいっぱい大満足!

その詳しい内容については、先日コメントをいただいた、みどりさんのレポートが完璧なので、こちらをご覧いただくとして…(すいません、サボりました)
http://blog.livedoor.jp/poplar_green/archives/51520326.html

私の方は、「魔女」つながりで、2007年にドイツで経験した魔女まつりの思い出を綴ってみようとおもいます。

それにしても久しぶりですよ〜、ドイツの話。
一応このブログ、「ドイツ」をテーマにしてるはずなんですけど…スイマセン。

魔女まつりは、私のドイツ生活で1、2を争うほど印象深いイベントだったのですが、あまりに大きすぎて、手が付けられないまま、なんと3年が経ってしまいました(笑)
でも、書かないわけにはいかないので、ずっと気にかけておりまして…。
だって、このブログのプロフィール写真がこれですもの。避けては通れません。

…と、前おきはこのへんにして、本題へ。

ドイツには、「Walpurgis Nacht (ヴァルプルギスの夜)」という伝説のお祭りがあります。
ゲーテの『ファウスト』で有名になったらしいのですが、年に一度、4月30日の夜に、ドイツ中部ハルツ山地のブロッケン山に、世界中の魔女や悪魔が集まって、たき火のまわりで夜どおし踊りさわぐというお祭りです。

私は、プロイスラーの『小さい魔女』というお話でこのお祭りのことを知りました。
主人公の「小さい魔女」は、まだ一人前の魔女ではないので、ヴァルプルギスの夜への参加を許されていないのですが、どうしてもどうしても行きたい!と思ってこっそり参加したところ、見つかって魔女のボスから大目玉をくらってしまいます。そこで、「来年のヴァルプルギスの夜までには、一人前のいい魔女になって、堂々と参加してやる!」と、猛烈に努力するわけです。
さて次の年、彼女は無事お祭りに参加できるのでしょうか!?というお話です。

小さい魔女が、そんなにも憧れる魔女のお祭りって、どんなのかなあ、楽しそうだなあと、子どものころからちえぞうは、思いをめぐらせていたのでした。

ところが、なんとその祭りが実在するらしい、ということが判明したのです。
それはそれは、なんとしても行かなくちゃ!
ということで、ドイツに行く前この本を熟読して予習したのでした。

Photo_3 『ドイツ魔女街道を旅してみませんか?』
西村佑子 著

2001年 トラベルジャーナル










著者の西村佑子先生は、ドイツの魔女研究の権威で、頻繁にドイツに渡っては魔女の足跡をたどるうちに、とうとう独自の「魔女街道」を編み出してしまったという、すごい方です。

この本に、ヴァルプルギスの夜についての詳しい情報が書かれていたので、それを頼りに、単身、魔女まつりに乗りこむぞ!と、心に決めて、ちえぞうはドイツへ飛び立ったのでした。

しかしながら、一人で行くのはやっぱり不安。
なぜなら、ドイツ中部ハルツ地方というのは、日本で言えば信州みたいなところ、つまり、交通網が発達していない、車を持たない旅行者にとってはとても行きにくい場所なのです。
電車やバスをどんぶら乗り継いで行くとしても、だれかお仲間がほしいな〜と思っていると、ちょうど良いタイミングで、仲良しの絵本編集者Tさん夫妻が、ドイツ旅行に来られるとのこと。
さっそく誘ってみたところ、
「私たちも、魔女まつりに行く予定ですよ。西村佑子先生のツアーに参加するんですよ〜」
というお返事が。

…え〜〜〜っ!!!

あの、あの、魔女街道の、あの西村先生が、ツアーをっ!?
それはもう、絶対、ヴァルプルギスの夜を、最も正しい場所で、最も正しい方法で、体験できるにちがいない!!! 

うらやましすぎる〜〜〜!!

そこで、ちえぞうは泣きつきました。
「私も、ぜひ、参加したいのですけれども! なにをどうすれば参加できるのでしょうか!今からでもいけますか!?」

するとTさんは、
「なんとか言ってみましょう!」
ありがとうございます〜っ!

西村先生のツアーは、日本発で、魔女街道のポイントをいろいろめぐった後、最後にヴァルプルギスで締めくくるという行程なのですが、Tさん夫妻は、特別に祭りの日だけ飛び入り参加するとのことだったので、私もその形態で、急遽参加させてもらうことになったのでした。

そして、指令が下りました。

「4月30日の13:30に、ヴェルニゲローデという町の○○ホテルのロビーに集合。
ただし魔女の衣装を持って。」

…やっぱり。
ヴァルプルギスに参加するからには、魔女にならなあかんねんや。

どうしたものかと、ホストファミリーに相談してみたところ、イルカの友達がカーニバルの時に魔女のコスプレをしていたとのこと。電話してみると、快く貸してくれました。
宿も電車のきっぷも買って、よし、これで完璧!

しかしながら、ヴァルプルギスの夜って、ドイツではものすごく知名度低いようで、周りのドイツ人からは、
「え? そんなんあるの? 行くの? 踊りに? 魔女になって? まあ物好きねぇ〜」
と面白がられてしまいました。

そんな反応にもめげず、当日朝早くに出発したのですが…、

なんということでしょう。

この直前にイタリア一人旅を経験していたので、「ドイツ国内なんて、楽勝さ!」と軽く構えていたちえぞうに、
もう、魔女の呪いとしか言いようがないほど、次々と災難がふりかかってきます。

まず最初の電車が遅れ、そのせいで乗り継ぎが変わり、車内で車掌さんをつかまえて聞いたはいいが、そのダイヤがどうやらデタラメだったようで、ホームで待てども待てども電車が来ない。

というか、時刻表に、私が乗るはずの電車が存在しない。

田舎なので、次の電車は1時間後。
距離的には目的地からそれほど遠くないところにいるのに、ここから先へ進めない!

途方にくれて、ホームの時刻表横のバス路線図のようなものを見ると、「ヴェルニゲローデ」という名のバス停を発見。
なんやわからんけど、これに賭けるしかなさそうだ!

というわけで、やぶれかぶれのちえぞうは、電車やバスを乗り継ぎ、もう自分でもどうやったか分からない感じで、とにかくヴェルニゲローデ駅にたどり着いたのでした。

大急ぎで帰りの切符を手配し、自分の泊まるホテルでチェックインを済ませ、集合場所のホテルへ、タクシーでGo!

…間に合った。奇跡的に時間通り。
魔女の呪いに打ち勝った瞬間でした(笑)

来るだけでエネルギーを使い果たしてしまったちえぞうですが、ここからが本番です。

ロビーでTさん夫妻、西村先生と落ち合い、
(西村先生は、すごい方なのに、とても気さくで話しやすい、素敵な方でした)

「それでは魔女になりましょうか」
と、西村先生の部屋へ通されると、なんとそこには、ツアー専属のドイツ人メイクさんが!

私は鼻メガネがあるのであまりメイクは必要なかったのですが、せっかくなのでハートやお花をちりばめたカラフル魔女顔にしてもらいました。

Tさん夫妻も完璧な魔女と悪魔に変身。

P1050664_4

左がちえぞう、Tさんは超キュートな猫魔女さん。

旦那さんは悪魔…ハマりすぎです(笑)





このあと、まだ10人以上も魔女、悪魔メイク待ちが控えているということで、早めに済んだ私たちは、ひとまずヴェルニゲローデの町を散策することに。
町の中心に向かって歩き出したのですが、

私たち…浮いてる…。

町はすでに、魔女や悪魔のあふれるお祭り騒ぎなのかと思いきや、道行くドイツ人は普通の格好、普通のテンション。

P1050642

は…はずかしいっ! 見られてる!
これじゃ私たち、完璧な浮かれ観光客じゃないか!



 


言いようのない恥を耐え忍びながら、人の多い方へ多い方へと急ぐ私たち。


P1050643 町の中心へ来ても、

う…、平常…。

しかし、おやおやっ…?






P1050646 発見! 
しかも、超ハイクオリティ!







P1050648 めがね魔女に、









P1050659 ロック魔女、










P1050651 癒し系魔族に、










P1050650 Mr.恐怖!











探せばいるいる、魔族たち。


さらに、


P1050658 魔女の店番









P1050666_2 魔女の鈴なり











なんだ〜、私たち、全くもって普通じゃないか〜と落ちついたところで…、

はたと気づきました。
「我々には大事なアイテムが欠けている!」

…ほうきです。

ほうきが魔女には必要です。

探して歩くと、魔女箒を売っているお店を発見!
Tさんと共に買い求めると、店のおじさんが、

「やあ、魔女じゃないか。安くしとくよ。ほうきがなかったら困るだろう!今日は忘れたのかい?」

…まけてくれました。

これぞ粋というもの。すばらしい!

Img_0753_4 ほうきを買う魔女









Img_0726 ついでにいろいろ見る魔女











これで装備完了!

P1050672 できあがり〜!!









P1050675 ちなみにここは市庁舎の前。

美しい建物です!









こんなふうに気を良くして遊んでいると、テレビカメラがやってきて…、



Img_0739 取材されてしまいました。











さて、そろそろ西村先生たちと落ち合う時間。
ジャパニーズ魔女ツアーの面々が、ぞくぞく集結しはじめました。

なんと今回は、絵本作家のS先生も参加されていました。初めてお会いするので、ちえぞう、ちょっと緊張! 赤いほっぺの、とってもかわいい魔女に変身されてましたよ。

P1050684_2 まずは集合写真。
これだけ集まると、圧巻です。









次は踊りの練習。
おお、やはり決まった魔女ダンスがあるのか!
と、思いきや…、

Img_0770 なななんと、東京音頭です!
ドイツの、木組みの町の、マルクト広場の真ん中で、東京音頭!
斬新すぎるっ!!





つまり、西村先生のコンセプトとしてはこうです。
「せっかく日本から来ているのだから、日本人としての魔女をアピールしたほうが面白いじゃない!」

だから、皆さんの衣装も着物だったり袴だったりするわけで。

世界の舞台に挑むというその心持ち、さすが魔女祭りマスターです。
初心者の私たちとは違います。

ひと通り踊りのリハーサルが終わったところで、さあ、本番の会場へ移動です。

目指したのは、よりハルツ山地に入ったところ、ブロッケン山の麓にある、「シールケ」という町。
まさにファウストに登場した、魔女まつりでは由緒ある町です。

バスでどんどんどんどん山道を走り、たどり着いてみると、

Oh,田舎!!
本場な感じですよ〜。

バスを降りて、会場まで少し歩いたのですが…、

P1050691 きゃっ、等身大の魔族たちが、









P1050692 いたるところで









P1050694 おでむかえ!











チケットを買い、会場に入ると、いましたいました、素敵な魔女たち悪魔たち。

P1050715 緑の顔は定番ですね。映画「オズの魔法使い」の影響でしょうか













P1050724

表情!いい!











P1050714 すてきな魔族カップル











P1050707 クモの巣帽











子どもたちも負けてはいませんよ。



P1050708 ほ、ほほえましい!









P1050712 絵になるね〜。









P1050713 ドイツらしい、カラフル魔女子ちゃん









P1050703 メイクをしてくださったダニエラさんのお母さんと、孫のレアちゃん。

さまになってる!

 






西洋の方々って、本当にこういうの似合いますよね。
私たちとは、はまり方が違います。うらやましい。

さてまずは腹ごしらえ、ということで出店をのぞくと、
…なになに?
P1050695 「サタン焼き」
「ヒキガエルの肝」
「悪魔のシッポ」…









ひえ〜っ、魔族の食い物、おそろしすぎる!

勇気をふりしぼって、「悪魔のしっぽ」と「サタン焼き」をいただいた私たちでした(笑)

その後私は、ある出店で相棒に遭遇。
P1050860 魔女猫くんです!











お次はパレードがあるということで、見に行ってみると…





ひゃ〜、楽しい!

西村先生によると、例年はステージで中世を舞台にしたお芝居が行われるですが、今年はなさそうだとのこと。
残念!

それならばと気を取り直して、我々自らがアクションを起こすことに。
山と積まれた薪のそばで、踊りましたよ。

東京音頭!

さらに、興味を持ってくれた方には折り紙の鶴をプレゼントするという、超親切、親善大使な日本の魔族たち。
西村先生、地元ラジオの取材を受けてました。さすがだなあ。

日も暮れてきて、いよいよ薪に火がともることに。

P1050719 これが…、









P1050720 こうなって…、









P1050722 こう!











本当は、『小さい魔女』のように、この周りで夜どおし踊り騒ぎたいところだったのですが、我々一行は宿に帰らねばならないということで、泣く泣く会場を後にし、バスでヴェルニゲローデに戻りました。

いや〜、ひと口に「魔女」といっても、人によって捉え方はさまざまなんですね。
観光客に地元民、老若男女、ほんとうにさまざまな魔女や悪魔を見ました。

日本では「かわいい魔女」というのがすっかり定着している感がありますが、ドイツではやはり、恐ろしくてこそ、醜くてこそ、魔女なんですね〜。
原点を見せられた気がしました。

西村先生の本によると、ヴァルプルギスの夜は、春を迎える儀式でもあるとか。4月30日に冬の悪魔や魔女を追い払って、5月1日に新しい春を迎えるのです。
春を祝ってどんちゃんやるのは、寒い地方のドイツならではですね。

おまけの話

この日、自分の泊まるホテルに戻ってほっとしたところで、愛用の電子辞書をなくしたことに気づきました。
行きの電車でバタバタしていて置き忘れたか、祭りで浮かれてて落としたか…。
青くなって、Tさんや西村先生や、いろんな方に問い合わせ、ご迷惑をかけましたが、結局辞書は見つからず、ちえぞうはしばらく辞書なしのサバイバル生活を余儀なくされたのでした。
やはり魔女の呪いは解けていなかった!
深刻な私をよそに、ホストファミリーたちは、
「チエが魔女まつりで踊りまくってて、辞書落としたんだってさ〜」
と笑い話にしてました。
ひでーや。
これも魔女の呪い?

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コメント

ちえぞうさん

こんにちは!やっと「みどりの緑陰日記」にリンク貼らせていただきました♪

いやぁ仕事中なのに^^;笑った!笑った!(*^m^)
ちえぞうさんがヴァルプルギスに向かう途中のアクシデントや、先に町に繰り出して(;´▽`A``
とまどっちゃうところとか、踊りの練習ってはりきったら東京音頭だったというところとか!

最後の魔女の呪い?電子辞書行方不明事件とか…面白かったです♪

ドイツならではの素敵な経験だったんですね~♪

投稿: みどり | 2010年7月22日 (木) 14時51分

長い記事を読んでいただいて、ありがとうございます!
笑っていただければ本望です(笑)
みどりさんも、魔女の呪いには気をつけてくださいね〜。

投稿: ちえぞう | 2010年7月22日 (木) 15時11分

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